船の交通方法とは

各種船舶間の船の交通には、「海上衝突予防法」「海上交通安全法」等々の法律で定められた船の交通方法があります。

「海上衝突予防法」

海上衝突予防法は、簡単に言うと各船舶の衝突を予防する為の法律となっており、これは国際的な法律でも定められ日本船籍の船だけではなく外国船籍の船でも、ほぼ同じルールになっているので海上で外国船籍の船とすれ違う場合でも船対船の衝突を防ぐことが出来るようになっており、大きく陸上の交通ルールと違うのは、車は左側通行ですが、船の場合は右側通行となっています。
また当然夜でも船は航行するので、この法律には夜間における灯火や昼間表示しなければならない形象物、汽笛による信号や発光による信号などについても定められています。

「海上交通安全法」

海上交通安全法は、船舶の混み合う海域においての各船舶の交通について特別の船の交通方法を定め、船舶の交通の安全を図るために作られた法律です。
海上衝突予防法は全ての海域に適用されている法律なので、海上衝突予防法の特別規則として、航路での速力制限、避航義務などの特例、航路の横断方法などの航法、などを定めた法律となっています。又この法律には適用海域が定められており、「東京湾」「伊勢湾」「大阪湾を含む瀬戸内海」が適用海域となっています。その適用海域の中にも11の航路を設け、各航路ごとの航法がそれぞれに定められています。
ここでは私の乗った船の主な航路が瀬戸内海だったので、特に瀬戸内海についてのご紹介をしたいと思います。

海上交通安全法における「瀬戸内海」


瀬戸内海の絵

上の図で、大阪湾を含む瀬戸内海の青色の海域が「海上交通安全法」の適用海域を示したもので、瀬戸内海では航路として8航路設定されており各航路の場所が示されています。

海上交通安全法の航路における一般的航法


海上交通安全法の航法

◎上図において、A船は中央線より右側の航路をこれに沿って航行している船舶です。
◎B、C、DおよびE船は漁ろう船等を除きA船の進路を避けなければなりません。
◎航路をこれに沿って航行している船舶であっても航路内の漁ろう船等の進路は避けなければなりません。
◎上図において、A船が「巨大船」とすればB船、C船、D船及びE船が漁ろう船等であっても「巨大船」の進路を避けなければなりません。

航路中央ブイ

この写真は松山沖に浮かぶ航路中央ブイ(伊予灘8番ブイ)で、分かりやすく道路で例えるとセンターラインのことです。
この航路中央ブイが東は瀬戸内海の明石海峡付近から、西は関門海峡の入口まで、約4〜5マイル(海上の1マイルは 1,852mです)ごとに設置され、それに沿って右側を航行するようになっています。ただし途中の備讃瀬戸北航路と備讃瀬戸南航路には、一方通行となる為設置されていません。

「明石海峡」航路


明石海峡大橋の写真

北九州市の響港から神戸港での荷役の為、播磨灘から明石海峡へ向かう途中で写した、早朝の明石海峡大橋の写真で、左側が明石市、右側が淡路島です。 明石海峡大橋は橋長3,911m、中央支間長1,991m、主塔高さ海面上約297m、海面からの高さ65mで世界最長No.1の吊り橋です。

明石海峡の絵

◎上の絵は、明石海峡にある「明石海峡航路」を示したものです。
◎「明石海峡航路」は航路の中央に航路中央ブイのみが設置されており、航路の中央線が識別できますので、船舶はこの中央線より右側を航行しなければなりません。
◎明石海峡航路をより安全に航行するため、大型船は大阪湾海上交通センターへ航路通報を行うことになっています。

「備讃瀬戸」航路


南北備讃瀬戸大橋の写真

神戸港を出港し徳山港へ向かう途中で、夕日をバックにした瀬戸大橋を写したもので、左側が坂出市、右側が与島です。瀬戸大橋は全部で6つの橋から構成され、坂出市から三つ子島までが「南備讃瀬戸大橋」、三つ子島から与島までが「北備讃瀬戸大橋」、与島から羽佐島までが「与島橋」、羽佐島から岩黒島までが「岩黒島橋」、岩黒島から櫃石島までが「櫃石島橋」、櫃石島から倉敷市までが「下津井瀬戸大橋」、これらの総称を瀬戸大橋と呼んでいます。
船は西方へ向け航行中なので「備讃瀬戸東航路」を抜け「備讃瀬戸北航路」に入ります。船は右側航行なので右側の橋「北備讃瀬戸大橋」を通過し、「備讃瀬戸北航路」へと向かいます。

備讃瀬戸の絵

◎上の図は瀬戸内海に設定された航路のうち「備讃瀬戸東航路」「宇高東航路」「宇高西航路」「備讃瀬戸北航路」「備讃瀬戸南航路」及び「水島航路」の6航路を示したものです。
◎「備讃瀬戸東航路」は航路の中央にブイが設置されており、航路の中央線が識別できますので、船舶は、この中央線より右側を航行しなければなりません。
また、男木島から本島間の赤色の濃い部分は速力制限区間です。
◎「宇高東航路」は北の方向に、「宇高西航路」は南の方向に航行する船舶の一方通行の航路に指定されています。
◎「備讃瀬戸北航路」は西の方向に、「備讃瀬戸南航路」は東の方向に航行する船舶の一方通行の航路に指定されています。
◎「水島航路」については、長さが70mを超える船舶は交通管制に従って航行しなければなりません。

「来島海峡」航路


来島海峡大橋の写真

大三島を背にし今治方面を見た来島海峡大橋の写真で、真ん中に橋脚が二本立っている島が馬島、左側の橋「来島海峡第二大橋」の中央に見えているのが中渡島です。来島海峡大橋は世界初の3連つり橋で、今治市から馬島までが「第三大橋」(橋長1,570m)、馬島から武志島までが「第二大橋」(橋長1,515m)、武志島から大島までが「第一大橋」(960m)と3つのつり橋で構成されています。
この海峡での交通方法は特殊なルールが有り、以下の説明文にもありますが「順中逆西」(じゅんちゅうぎゃくせい)と呼ばれる航法で海峡を通過しなければなりません。
この日は、来島海峡を北の方から進入し、潮の流れが「南流」だったので「順潮」となり、馬島と中渡島の間の中水道を通過します。
船は右側航行が基本ではありますが、この日は潮の流れが南流だったので中水道を通過するようになり、左側航行となります。
*「潮」の流れは流れていく方を指し、「風」の風向は風が吹いてくる方を指します。

来島海峡の絵

◎左側の図は、来島海峡付近の海図です。
◎右側の図は「来島海峡航路」を示した海図です。来島海峡航路は馬島を中心として、その東側に中水道が、その西側に西水道が設定されています。
◎中水道は西水道に比べ、水路幅が狭く、しかも潮流の流速が速い水道ですが、直線的に通航できる水道ですので船舶運用の観点から「順潮」で通航する水道になっています。
◎西水道は中水道に比べ、水路幅は広いのですが湾曲していますので船舶運用上、順潮での通航は危険なため「逆潮」で通航する水道になっています。
◎航路中央付近の赤色の濃い部分は 「航路への出入又は航路の横断の制限」区間です。
◎来島海峡航路を航行する時の注意点として、潮流が南流の際には船舶は左側航行となり、航路の「東出入口付近」と「西出入口付近」において右側航行に変える必要から各船舶間で進路が交叉することとなり、海上衝突予防法の「横切り船」の航法が適用されることになります。

絵と図及び一部説明文は船の豆知識(海上交通安全法)様より引用

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